ゲノム、次世代シークエンスとブログの勝利


伝的異常が強く疑われるものの従来の遺伝検査では原因がわからない病気の変異を次世代シークエンス技術・全エクソンシークエンスでかなり高い確率で検出しうることが示されました。
Kids who don't cry: New genetic disorder discovered - CNN.com
オリジナル論文→Clinical application of exome sequencing in undiagnosed genetic conditions. Need AC, et al. Journal of Medical Genetics. 2012 Jun;49(6):353-61.
涙を見せず、無気力で肝臓障害を伴う難病を持つ子の親が、アメリカ中の病院・研究所を訪れるものの診断がつかず、ゲノム解析をしたところ新規の遺伝子変異NGLY1が見つかったというお話です。キモはNGLY1の突然変異が見つかったもののモデル生物でしか先行研究が見つからず、藁にもすがる思いでウェブ検索したところ、同じ遺伝変異を有した子を持つ研究者のブログにたどりついたところでしょうか。ヒトゲノム計画、次世代シークエンスという研究技術の進化も重要ですが、ブログという個々の疾患情報が発信されてなかったら、このケースの医学的発見はなかったと思います。
もちろん、根気強く診断を求め続けた親御さんの努力と、原因をつきとめようとした研究者の尽力も欠かせません。CNNの記事によると、今では同じNGLY1を持つ患者が14人見つかったとか。一世代前だったら「奇病」呼ばわりされたかもしれない病態が少しずつ解明されてきていることは素晴らしいと思います。