白い匂い

http://www.nature.com/news/the-whiff-of-white-could-hide-strong-odours-1.11846
The whiff of white could hide strong odours : Nature News & Comment:
オリジナル論文→Perceptual convergence of multi-component mixtures in olfaction implies an olfactory white. Weiss T, et al. PNAS. Epub online November 19, 2012.
複数の色の光をまぜていくと白光になり、複数の種類の雑音を混ぜていくとホワイトノイズになります。では、複数の匂いの素を混ぜていくと「ホワイト臭」になるのか?という研究論文が発表されました。
結論から言うと、「ホワイト臭」になるそうです。86種類の匂いの素を混ぜ、被験者に2種類を同量加えた混合物、3種類の混合物…と嗅がせていくと、〜30種類の混合物くらいから、同じ匂いに感じられるという結果が出ました。30種類以上の混合物に架空の名前をつけたところ、後日に別の30種類の混合物の匂いを嗅いでも架空の名前を「言い当てた」ところから、「ホワイト臭」は存在する、という結論に達したようです。
この結果がなんの役に立つのか?という疑問がNature Newsに出てましたが、「ホワイト臭」にバラの匂いを加えても、トイレの匂いを加えても「ホワイト臭」になることから、臭い消しに使えるのでは?と書いてありました。確かに可能性はあるでしょうけど、ポイントは「匂いの素を同量加える」というところだと思うんですよね…まさか匂いの素の分子量をいちいち計測するわけにもいかないでしょう。とはいえ、非常に興味深い論文でした。

GWASの新しい活用法

http://www.nature.com/news/dna-sequencers-stymie-superbug-spread-1.11808
DNA sequencers stymie superbug spread : Nature News & Comment:
オリジナル論文→Whole-genome sequencing for analysis of an outbreak of meticillin-resistant Staphylococcus aureus: a descriptive study. Harris SR, et al. The Lancet Infectious Diseases. EPub online November 14, 2012.
イギリスの病院の新生児集中治療室でメチシリン耐性黄色ブドウ球菌MRSA)の感染が6か月間の間に12例発生し、感染経路がわからないので関係者の菌のゲノム配列を読みまくって感染ループをストップさせた、という論文が出てました。
感染経路になってたのは看護師や医療関係者、入院児の父母など、無症状の大人。感染経路を追いかけていくうちに、病院に通ってた患者の配偶者が1年後に感染してた事例まで判明したそうです。今までの感染源の調査方法では判明しえなかった経路がわかったことで、死者ゼロで事態が収まり、院内の感染予防方針の改善につながった、という成功例でした。ゲノム配列決定が、院内感染の解決と予防にまでつながるとは、想像もしませんでした。