性別に関わらず研究者を増やそうとすることについて

科学技術分野への女性進出を促すことを狙って内閣府は16日、女子高校生や女子大学生を対象に、「チャレンジ・キャンペーン」(毎日新聞社共催)を実施することを発表した。科学技術分野の職業の魅力を訴えるため、ホームページを開設、全国で女子高校生向けの講演会も開く

ふ〜ん、内閣府は女性研究者を増やしたいのはわかるんですが、このキャンペーンによって研究者の道を選んだ女性が進めるキャリアパスを用意できるんでしょうか? 今でさえ博士余りで100人中8人が「行方不明または死亡」なのに・・・
と思ってたら、男女共同参画白書から関連する統計が出てました。

政府が17日までにまとめた2005年度版「男女共同参画白書」で、少子化理科離れが進む中、科学技術分野の研究者で女性が占める割合は11・6%にとどまっていることが分かった。主要国の女性研究者の割合は米国32・5%、フランス27・5%、英国26・0%、ドイツ15・5%などで、日本の比率は極めて低い。白書は「研究者は長期間の仕事の継続性が重要だが、出産や育児、介護で負担が重い日本の女性は研究を断念する例が多い」と指摘している。 白書によると、在職中に出産、または配偶者が出産した人の中で育児休業を取得した人は女性73・1%に対し、男性0・4%だった。 夫が育児に参加する時間が短い背景として、子育てへの関与が最も求められる30歳代が長時間労働を強いられている現状があると分析。また「仕事と同様に家事、育児も重視したい」と希望する父親は51・6%に上るが、「実現できている」と認識している人は25・9%にすぎないと指摘している。

じゃあ何%まで増えれば満足できるんでしょうか。50%ならOKだとか?
前の職場で出産された同僚がいたけれど、彼女の本当に大変な妊娠・出産・育児を見てると、男性の育児参加なんてレベルじゃないと思いますよ。自分の研究を100%同僚に引き継げない以上は「産休を取る=それだけ研究が遅れる」ってことですから。臨月まで働いて、産後1ヶ月で職場復帰。それでも周りの理解のないオジサン研究者からは「えっ、もう働いてるの?! そんなに早く預けるの・・・(子供が可哀想だよ)」という実に無神経な言葉を投げつけられてました。どんなに研究のキリが悪くても保育園のお迎え時間には帰らなくちゃいけない。更に「出産前後は集中力が低下して研究の効率が下がった」とも仰ってました。
上に書いたことは「だから女性は研究職には向かない」というわけじゃありません。ただ、こういった現実社会にある問題を見据えずに統計的数字と表面を撫でたような対策を書かれても、実情を知る側としては冷笑的態度しか取れませんよってことです。