理系が使う魔法の杖

■西村流モジ人間とモノ人間とは?

 理系にとっては、コトバにならないこのモノの仕組みが大事です。モジの下にはモノが隠されていると見ます。氷山に喩えれば、モジは海面上に出ている部分で、海面下に大きなモノがあると見ます。このモノをつかむのに、文系は、モジ以外に手段を持ちませんが、理系は「実験と数学」という強力な手段を持っているのが強みです。そこで問題解決の仕事をジグソーパズルに喩えると、海面上のモジだけを組み合わせてパズルが解けると信じているのが文科系、その下に隠れているモノを見つけねばダメと考えるのが理科系ということになります。
 モジとモノのこのような関係に注目すると、人はモジ人間とモノ人間に分けられます。それがよく分かるのは、パソコンなどのマニュアルへの依存度です。マニュアルを1ページから丁寧に読み、それがなければ動けないのがモジ人間、いきなりいじりまわし時間はかかるが何とかするのがモノ人間です。ペーパーテストに強く、それを武器に活躍する人はモジ人間です。その典型は官僚です。これに対し、大工、料理人などモノを作る職人はモノ人間です。理系が使う魔法の杖とは、モジの下に広がるモノを正確に想像する能力ですから、理系で仕事するには、まずモノ人間でなくてはなりません。

はてブから辿って見つけた東大名誉教授・西村先生の名文。mojix KU。
文系=モジ人間、理系=モノ人間という定義は、直感的に大筋で間違いないんだろうなぁと思う。だけれども日本の文系(=モジ人間)の武器は、日本語という氷山の表面すら正確に描写できない言語しかありません。なんとな〜く表面をなぞった文章を読んで、それが氷山の全てだと思い込んで世の中を理解した気になりがちかと。別にこれは文系に限ったことじゃなく、西村先生のいうところの「理系が使う魔法の杖」を手に入れてない人たち全般に当てはまるかとは思います。ハリー・ポッターの世界のように誰でも杖屋に行けば入手できるってものだといいのですが。