法律が技術に追いついてないだけ

ところで、向井亜紀さんのケースでも僕にはよくわからないところが。夫以外の精子による人工授精では嫡出子とされるとのことで、「妻が妊娠・分娩すること」が遺伝的な関係よりも重視されているということみたいですね。判例があるから法的にはそういう判断になる、という話はわかるのですが。しかし夫からみて遺伝的に他人でも妻が産めば嫡出子なのか…。

いやそれはもう、法律が現代技術の進歩に追いついてないだけでしょう。現行法がいつ設立されたかは知りませんが、その頃は女の腹から出でた子どもは須らくその女性の子であることに100%疑いがなかった。「男性−子」間の親子関係を証明するのにDNA鑑定を利用するのは、「女性−子」間にある妊娠・分娩ほど明確な証拠がないから法律的に徐々に認められてきたのだと推論します。代理母のように新しい技術を受け入れられるほど、今の法律は新しくないのですから。
向井さん夫妻の件で、役所が届出を受理しなかったことを「これだからお役所仕事は・・・」と言う人もチラホラいますが、私は逆に役所がすんなりと受理したら大問題だと思います。役所は現行法律を「柔軟に」解釈すべき立場にはないですし、もし代理母による出生届けを受理するのであれば如何様にして親子関係を証明すべきか、それまで役所が決めなくちゃならない。それは流石に裁判所の仕事であり、裁判官が世論と最新技術の進歩を図りながら判決を下すべきだと思います。