姥捨て山じゃなくてカチカチ山

厚生労働省のこの制度を中心になって作ったらしい人は、「後期高齢者の人が亡くなりそうなときに、家族が一分でも生かしてほしいと要望して、いろいろな治療がなされたなら、500万とか1000万円の金額になってしまう」と言っている。
 しかし、東京医科歯科大学大学院の医療経済学の教授が10万例以上の調査をしたレポートがある。死亡前一週間にかかった平均医療費は、がんなどの「悪性新生物」が約32.8万円。心疾患で38.9万円。脳血管疾患で22.3万円である。500万とか1000万とかいう金額はどんな根拠で出されたものなのだろうか。

何を今さら憤っているんだろう?と思ってしまった自分は一般の人と感覚が違うのかもしれない。死後直前1週間にかかった費用、つまり終末期医療の費用が38.9万円なら1ヶ月で(38.9万円÷7日)×30日=166.7万円/1月。ボックリ逝けるケースは少なくて実際は長い闘病生活があって、その期間は終末期医療より「もっと積極的」な治療を試みたら、費用はもっと高くなる可能性だってあります。私の祖母は大腸ガンの手術から亡くなるまで5年間入退院+自宅で寝たきりを繰り返してたけど、それって医療費がいくらかかったか・・・それを考えたくない、どんなことをしても1日でも長く生きながらえて欲しい、と思う家族の感情は否定しません。
しかし政策決定者としては「アレもコレも」と言われるままに医療費を増長させるわけにはいかないから、今回の医療制度改革になったんでしょう。「できることはなんでもしてください」とか「念のためMRIも」とか、今正に亡くなりそうになってるご家族の立場の大きな声が、産科・小児科・救急医療など他の科を圧迫しかねない一面も考えて欲しい。経費の面だけじゃなく、医療資源、医師・スタッフなど人的資源の面でもね。採算を考えない泥の舟は、早晩沈みますよ*1

*1:だから年間1億円でパンダのつがいを借りるより、他に予算を回すべきところがあるんじゃない?と書いてみた