これ、記事の書き方がマズいのか?

子どもを花粉症にしないための9か条 -医療介護CBニュース-

理化学研究所免疫・アレルギー科学総合研究センターの谷口克センター長が「花粉症にならないための9か条」を紹介した。(中略) 谷口センター長は、2003年のアレルギー疾患増加の疫学調査結果などを例に挙げて説明。同調査によると、花粉症を含むアレルギー患者は、20歳代は80%、40歳代は70%、50歳代は40%、60歳代は30%と、若い世代ほど割合が多い。きょうだいの数とアレルギー疾患発症頻度に関しては、第1子の発症頻度は6.3%だが、第2子は4.9%、第3子は3.1%と、第2子以降は発症頻度が下がる傾向が見られた。
 また、生後6か月以内に麻疹、抗酸菌などの感染症にかかると、アトピーになりにくいという。6歳時点でのツベルクリン反応陽性者は喘息の発症頻度が4%、反応陰性者は16.2%だった。
 一方、生後3年以内に抗生物質を投与すると、花粉症や喘息の発症率が高くなるという。

 谷口センター長は、「花粉症は、ある程度不衛生でエンドトキシンの量が多い環境で育つと発症しにくくなる。逆に、下水道などインフラが完備されている所、車の交通量の多い所で育つと発症率が高くなる」と説明した。

この記事を読むと一時点を横断的に調べた疫学研究でしかないように見えますが・・・これだけじゃ因果関係は断言できないはず。年代が上がるほど兄弟の数が多いんだから、この2つの項目は関連がありますよね。ツベルクリン摂取も、若い世代ほど受けた人は少ないわけで。衛生状態、下水整備割合、交通量も年代と相関してるんだから(ry あと20歳代の80%がアレルギー患者なのに、「第1子発症頻度が6.3%、第2子は4.9%、第3子は3.1%」って計算おかしくないですか?どう足しても80%に到達しないけど、まさか20歳代のアレルギー患者の大多数が第4子以降でした、なんて開き直るつもりじゃないだろうな?!
杉は戦後の復興にともなう政策で積極的に植林されたわけですから、今の50歳代より上の世代が子どものときは花粉がそんなに飛散していなかった、曝露量が少なかったのでは。
スギ・ヒノキ林に関するデータ
戦後の植林政策 -OKWave
「生まれた年代/兄弟の数/BCG摂取と花粉症の発症は相関がある」という結論ならわかるんですが、「交通量の高いところで育つと発症率が高くなる」って言い切っちゃっていいの?本当に?理研のセンター長ともあろう方が、まさか相関関係と因果関係をまぜこぜにするなんてことはないとは思いますが、疫学をかじったことのある人間として疑問がとまりません。記事に記載されていない材料があるんだよねっ、そうに違いない、そうだと言ってくれ、頼むから。
【追記】
理研千葉大が「BCG接種が花粉症に効果があるか」のRCT研究を行っているそうです。よかった、横断研究と因果関係をゴチャマゼにしてるセンター長はいなかったんだ。
しかし「1年間150名規模」×2年を「大規模検証」と呼ぶのはちょっとどうかと・・・桁が2つ違いやしませんか。
衛生仮説?不潔な環境がアレルギー性疾患を予防する - NATROMの日記