「news] ドルジの大人勝ち

大相撲の横綱審議委員会(横審)による夏場所(5月10日初日、両国国技館)のけいこ総見が29日、両国国技館で約5000人の一般客に無料公開して行われた。昨年末に体調を崩した内館牧子委員が久々に見守る中、横綱朝青龍は8戦全勝で好調をアピールしたのに対し、横綱白鵬は8勝3敗と調整不足が目立った。朝青龍に対する辛辣(しんらつ)な姿勢で知られる内館委員も、朝青龍に「元気になってよかった」と声をかけられて「朝青龍は(豊臣)秀吉のような人たらしだ」と話した。
けいこ終了を告げる拍子木が鳴り響き、力士が次々に花道を引き揚げる中、朝青龍だけが内館委員のもとへと歩み寄る。「心配しましたよ。元気になってよかった」と話しかけてがっちり握手。朝青龍にしか演出できない一幕だった。

 両者の因縁は深い。土俵内外でトラブルを起こし続ける朝青龍を、内館委員は「私の中では引退した力士」と切って捨てたこともある。無関心を装いながら内心は複雑だったに違いない朝青龍だが、ファンの前で大人の対応をみせた。

 内館委員は心臓疾患のため、初場所以降は委員の職務を離れて治療に専念していた。手術も受け、現在も自ら「高見山(現東関親方)みたいな声しか出ない」というほど声はがらがら。悪童横綱も満身創痍の天敵を邪険にはできなかった。

 内館委員も気分が悪いわけがない。「立ち合いでの張り差しが多い。もっと横綱らしい相撲をみせてほしかった」と内容は厳しいながら、口調は穏やかそのもの。朝青龍とのやり取りを振り返る口ぶりは、孫との再会を喜ぶようでもあった。

モンゴル帰省の際に黄砂で鼻をやられた、という噂だったのですが、昨日の稽古総見では全勝で一応は好調だったようです。それよりも、不仲で有名な内館委員に自ら歩み寄りお見舞いの言葉を述べるとは!大人として立派な態度で感服しました。いやはや、これで心置きなく来場所を楽しめるわい。