ガン細胞は全滅させちゃいけない?

「がん細胞との共生」は「撲滅」より効果的:新しい治療法
オリジナル論文→Adaptive Therapy. Gatenby RA, Silva AS, Gillies RJ and Frieden BR. Cancer Research 69, 4894, June 1, 2009.
抗がん剤でガン細胞を死滅させようとすると、腫瘍が消えたあとに耐性細胞が増殖して死に至ってしまう。それよりかはガンを安定させる程度の投与量に抑えた方が長生きできますよ、って研究らしいです。シミュレーションしたのちにin vivoでも証明しているそうです。うーん、もっともらしいようにも聞こえるし、とんでもない詐欺話にも聞こえます。現在の化学療法では効き目を測るのは腫瘍サイズの目視確認ですから、見た目でガンが消えた!と思って抗がん剤をストップしても実は残ってましたって話はゴロゴロしてます。じゃあガン細胞を死滅させるまで投与を続けるべきかというと、投与時間が長引くほどガン細胞が突然変異を起こして薬剤耐性を獲得する確率も高くなるわけで・・・イタチごっこですな。
原文記事Diggも賛否両論です。でもまぁ、可能性としてゼロじゃないという印象は受けます。新しいアプローチとしてありなんじゃないかな。ただし、実際にガンで苦しんでいる患者さんに「あなたの癌は温存療法にします」と言うのは倫理的にありなんでしょうか。転移が見つかったときに治療放棄として訴えられない?