正しくするにはマスコミの煽りが邪魔

 関西大倉学園大阪府北摂地域の中高一貫校。5月17日までに64人の新型インフルエンザ感染が確認された。学校は閉鎖され、「関西大倉学園」の名前は連日報道された。

 「今でこそ、季節性インフルエンザとあまり変わらないといわれているが、当時はどんなウイルスなのか、どんな影響があるのか分からない状況だった」と、同校の大船重幸教頭は振り返る。「防護服を着た人たちに突然、連れ出されることになった生徒や、家族全員が1週間、自宅で缶詰めになった生徒もいた。これを思うと言葉にならない」。同校が「ウイルスをばらまいている」といった誹謗中傷も後を絶たず、学校関係者のタクシーの利用や、制服のクリーニングを断られることもあったという。
 学校の再開前には、校内の消毒もした。「専門家から、(ウイルスは既に死滅しているので)消毒の必要はないと聞いており、意味がないということも分かっていた。しかし、こういう風潮の中では、やらざるを得なかった」。(中略)
■「誰が悪い」というのはナンセンス
 関西大倉学園の生徒への講演は、安井研究官自身が同校に対して頼んだことだった。「校内で新型インフルエンザが流行したことで、生徒はみんな不安に思っていた。誹謗中傷もあった。心に傷を抱え、2週間頑張って自宅待機していた子どもたちに、何とかメッセージを伝えたいと思った」という。
 学校側も専門家による説明を歓迎した。大船教頭は「生徒は不安を抱えていたと思う。安心感を与えることが一番の目的だった」と話す。

新型インフルエンザがフェーズ6に格上げされてもパニックになっていないのは、5月の大騒ぎがあったからこそだと今なら思えます。しかし国内初の感染疑いが出た高校といい、この記事の関西大倉学園といい、周囲の中傷はひどいものだったようです。意味がない中傷だからこそ、意味のない消毒をしてアピールしなきゃいけなかったんでしょう。そんな中で国立感染症研究所感染症情報センターの安井良則主任研究官が関西大倉学園で講演をし、

感染症を不必要に、過剰に怖がる必要はない。『正しく』怖がってほしい」。
 「忌み嫌うというのは、ある意味、怖いからやっているのだと思う。だが、それはやめてほしい。感染症に立ち向かっていかなければならない」。

と話したそうです。あれだけマスコミが不安を煽りまくっていたんですから、正しい知識のない一般人に『正しく』怖がれってのは、そりゃあ難しいだろうよ。よく分からないものを忌避するのは本能的な防御作用なんだから。