げに恐ろしきはニコチン中毒かな


 在宅酸素療法で酸素濃縮装置などを使用中の患者が、喫煙などが原因と考えられる火災で死亡する事故が続発している問題を受け、厚生労働省は、火気の取り扱いに注意喚起を求める通知を出した。同省が27日に発表した「医薬品・医療機器等安全性情報・第265号」に掲載した。

 医療用酸素ガスなどの業界団体、日本産業・医療ガス協会の調べでは、2003年10月から09年12月までに、在宅酸素療法実施者の自宅で火災が発生し、患者が重篤な被害を受けた事例は計27件あり、うち26件は死亡事例だった。火災の原因は約半数が喫煙だった。

在宅酸素療法」とは、慢性閉塞性肺疾患COPD)や肺結核の後遺症など、呼吸が困難になる疾患の患者が在宅で生活するために酸素濃縮装置などの器具を用いて酸素を吸入する治療法です。COPDの最大の原因は喫煙で、最大の治療法も禁煙なのですが・・・高酸素装置のそばでもタバコを吸わざるを得ないほど、タバコってのは中毒性が高いんでしょうかね。1秒考えれば自殺行為だとわかるはずなのに。
ちなみに喫煙者の約10〜15%がCOPDを発症し、特に高齢者だと50%近くがCOPDという調査結果があります。喫煙が引き起こす恐ろしい病気としては、肺ガンより何倍も可能性が高いのに、意外と知られてないんだよなぁ。タバコ中毒者を治療するにあたっては保険適応制度もありますが、これも制約が多いのが問題になってます。

 12学会禁煙推進学術ネットワーク委員長の藤原久義氏(尼崎病院院長)は、現在の禁煙保険治療の問題点として、▽若年者が保険適用にならない▽ほかの疾患で入院中の場合は禁煙治療を開始できない―の2点を指摘。保険適用については、ニコチン依存症であっても、「ブリンクマン指数」(1日の喫煙本数×喫煙年数)が200以上という保険適用条件の1つが、未成年や20代の喫煙者を事実上、適用対象外にしていると強調。「20歳で喫煙を始める場合、1日100本以上を吸っていないといけない。こんなバカなことはない」と述べ、適用条件の見直しが必要とした。

 また、ほかの疾患ですでに入院中の患者に対する禁煙治療が保険適用外であることも問題視。COPD慢性閉塞性肺疾患)患者の90%が喫煙が原因とする例を挙げた上で、「たばこがなくなれば、この病気がなくなることは分かっている」などと述べ、ほかの疾患で入院中の患者は、禁煙治療への動機付けが強いことから、保険適用が重要と説明した。

 一方、国立病院機構下総精神医療センターの平井愼二薬物依存治療部長(厚生労働省監視指導・麻薬対策課課長補佐)は、覚醒剤依存と同様に、喫煙行為が条件反射的に行われていると指摘。若年者では、「条件反射」としての喫煙の度合いが低いことから、治療は容易で、早期治療の必要性があるとした。

若いうちから治療すればタバコを辞めやすいのに、保険適応にはならない。そして年をとってからは、COPDなど他の疾患にかかってるので、やっぱり保険は適応されない・・・ナンジャソリャって感じですね。JTあたりが裏から手を回してるんでしょうか。「タバコはいつでもやめられる」と思ってる若い人、今のうちに本気で禁煙しといた方がいいですよ。マジで。
【追記】
New England Journal of Medicineに載っていた記事。海の向こうアメリカでは、タバコ業界への規制がより一層厳しくなるそうです。
Tobacco Control and Free Speech ? An American Dilemma | Health Care Reform Center
広告は白地に黒文字オンリーに限定し、学校・公園など子供が集まる場所から300m以内の屋外広告は禁止。かの国では1980年代半ばから医師学会などが活動を続けたらしいですから、25年も経ってようやくここまで結果が出たんでしょう。そう考えると日本なんてまだまだこれからですね。