たった1つの原因と対処法

逆境を生き延びる第2の方法は、自分で自分を励ます仕掛けをつくることである。一例を挙げてみる。小気味いい、切れ味のいい文章を書く俵萠子という評論家の、私は長年のファンであるが、彼女が何十年も前に雑誌(多分、女性誌?)に寄稿した文章「職場のやりきれない人間関係――先輩や同僚、後輩に、どうしてもがまんのならない人がいるとき、私はいつもこう考えることにしていた」の色褪せたコピーは私の宝物である。この、たった4ページのコピーに何度、慰められ、励まされてきたことか。

「サラリーマンにとって、何がしあわせといって、いい上役に恵まれ、よし、この人のためになら働いてやろうと、ほれて働けるときほどしあわせなことはない」、「私の13年間のOL生活を思い出してみても、会社へいくのがいやになったり、やめたいと思い暮らした時期は、たいてい"きらいな人物"が身辺にいたときであった」、「イヤな上役とは、台風のごときものである。その間はじっと耐えるほかない。大事なことは、このイヤな状態が永遠に続くとは思わないことだ」、「不愉快なやつは、必要なとき以外は、いないと思えばいいのである」――俵の体験的なアドヴァイスを伝えたいと思うあまり、ついつい引用が長くなってしまった(希望の方には、このコピー<全文>を差し上げます)。

メモ。同じような考え方をしたことはあります。目の前に不愉快な人がいても、「この人が自分の家族/配偶者じゃなくてよかったな*1」と発想の転換をしてしまえば、その時は最悪の気分に陥ることはなくなりますから。
だからとはいえ、その人から伝播した不愉快さが消え去るわけではありません。そもそも発想の転換をする余裕すらなくなるほど精神的に追い詰められることも多々あるわけで。そう考えると、重要なのは職場環境だ、ライフワークバランスだ、給与体系だ、福利厚生だと言われてますが、一番重要なのは職場の人間関係。特に上司の人柄が一番重要かもしれません。

*1:逆に「この人の奥さん/家族は大変だろうなぁ」と勝手に同情することも多々あり