個人ゲノム解読サービスは医療診断


 DNAシーケンスの高速化と低コスト化によって、1-2年以内に全ゲノム解読の料金は30万円を割り込むことが確実となって来ました。米国ではKonme社や23andMe社のようなパーソナルゲノムサービスが、どんどん展開しています。

 実際にはアマゾン.comなどで、申し込むと、数日後にキットが送られてきます。その中にある試験管に、唾液を入れて、パーソナルゲノム企業に送り返すと、数か月後にセキュリティのかかったDVDか、ウェブ上で自分のゲノム解読結果にアクセス可能となります。(中略)
現在のところ、このメールでも申し上げましたが、遺伝子解析研究は疾患関連遺伝子、どちらかというと健康に悪影響がある遺伝子群の解析から進む特徴がありますので、毎日、どきどきしながら自分のゲノム解析情報にアクセスするという、病的な状況が出現しているのです。

 今までは、OTCの遺伝子検査など冗談のようなものと、突き放した態度をとっていた米国食品医薬品局も、そろそろ看過できない状況になったと判断いたしました。2010年6月10日に、23andME社に対して、個人ゲノムサービスは医療診断機器の対象となると判断したと通告したのです。
http://www.fda.gov/downloads/MedicalDevices/ResourcesforYou/Industry/UCM215240.pdf 

 これによって今まで野放しだった、個人ゲノム解読サービスが医療診断機器・サービスとして、当局によって承認審査の対象となることになりました。やっと個人ゲノム解読サービスも、米国で認知されるプロセスに入ったのです。

 日本では、こうした動きはまったくないのですが、ウェブには国境がないので、私の知りあいでも、Amazon.comから申し込んだらしい男もおります。我が国でもみのもんたの番組で大宣伝される前に、品質確保を検討する必要がでてきました。個人ゲノム解読サービスは、現在の考え方では厚労省経産省の間に落ちてしまうサービスです。両省庁とも睨みあいの状態です。健康産業と医療産業、両産業にインパクトを与えますので、経産省厚労省は仲良く、個人ゲノム解読サービスの適正化に向けて、動き出すべきであると考えます。

アメリFDAが個人向けゲノム解読サービスは医療診断の対象になると判断し、23andMe社に通告したとのこと。ようやく、といった感じでしょうか。サービス内容としては医療と占いの狭間をふらついておりましたが、次世代シークエンサーの台頭で医療よりにシフトしたで、FDAは重要と考えたのでしょう。
引用ブログの宮田さんも書かれているように、個人ゲノム解読サービスで何が明らかになるかというと、身長の高さや髪の色じゃなく、疾患関連SNPの型ですよね。病気の罹りやすさ≒疾患リスクを判定するのであれば、間違いなく医療の範疇でしょう。重要な遺伝子病の判定には遺伝カウンセラーが必須なように、個人ゲノム解読サービスにも同様のケアが必要だと考えます。じゃないと、ワイドショーネタや血液型ネタと判別がつかず、市民も医療関係者も困惑するだけで、ゲノム解読サービスビジネス側だけが懐を潤すことになりかねません。