禁煙法は子どもの喘息を減らす

Smoke-free Legislation and Hospitalizations for Childhood Asthma.  Mackay D, et al. N Engl J Med. Sep 2010; 363:1139-1145.
英国スコットランドでは、2006年3月26日に公共の場所および職場での喫煙を禁止する法律が施行されました。この研究では2000年1月〜2009年10月に、スコットランド内の救急病院に喘息で搬送されたか、喘息が原因で死亡した0〜14歳の小児の数を調査したものです。その結果、2000年1月から年間5.2%ずつ喘息の来院・死亡数は増加傾向にあったものの、禁煙法が施行されてからは年間18.2%ずつ減少したそうです。この数字は性別・年齢・居住地・経済状況で補正してもほぼ変わらないとのこと。あまりに劇的な変化でにわかには信じがたいほどです。
禁煙法が通る前は「職場やパブで吸えない分、家庭での喫煙量が増えるじゃないか」という反対意見が根強かったそうですが、この論文を見る限りは逆なのでは?とDiscussionに書かれています。すなわち、0〜14歳の子どもが対象なんだから、職場やパブの喫煙・禁煙ルールが直接は影響しないはず。子どもの受動喫煙の危険性が高い家庭での喫煙率が下がっているとすれば、喘息の来院・死亡数の現象の説明がつく」と。外で吸えないから家で補おう、ではなく、外で吸えないから家でも吸わない、という流れになったんですね。願わくば日本でも、早く禁煙法が整備されて、社会全体の喫煙率が下がりますように。そうすれば、少なくても喘息で苦しんでる子ども達は楽になりそうです。