今年のノーベル医学賞


 スウェーデンカロリンスカ研究所は4日、2010年のノーベル生理学・医学賞を、英ケンブリッジ大のロバート・G・エドワーズ名誉教授(85)に贈ると発表した。(中略)

 カップルの10%以上は何らかの理由で、赤ちゃんができない不妊に苦しんでいる。エドワーズ博士は不妊の夫婦の精子卵子を用い、試験管内で受精させることに成功。受精卵を妻の子宮に戻し、1978年7月25日、世界初の体外受精児となるルイーズ・ブラウンさん(32)が誕生した。これまでに、体外受精によって世界で約400万人の子供が生まれ、生殖医療を根本から変えたことが高く評価された。

iPS細胞の山中教授は、そりゃまだまだ先ですよね。今年のノーベル医学賞に選ばれたのは、世界初の体外受精児を誕生させたエドワーズ博士。当然ながらローマ法王庁(バチカン)で生命倫理問題を担当する生命アカデミーのコロンボ委員は4日、「深刻な道徳的疑問を引き起こす」と批判してます。さすがに「神の領域云々」とは言い出してないようですが、人工授精の際に子宮に戻されない受精卵たちの命に対する抗議です。
【追記】
たぶんですが、エドワーズ博士の人工授精の論文はこちら。
Birth after the reimplantation of a human embryo. Steptoe PC and Edwards RG. The Lancet. 1978. 312 (8085): 366.
wikiで関連情報を眺めてたら、人工授精第1号の夫妻は実験的な治療とは聞いてたけれど成功例がなかったことは知らされてなかったとのことで、インフォームドコンセントもクソもあったもんじゃない状況だったようです。そういう意味でも倫理的に物議を呼びましたが、第1号のルイーズ・ブラウンさんは成人・結婚・自然出産を経験されたとのことですから、人類にとって素晴らしい治療法を確立したという事実は変わらないと思います。