あなたが飲んでいるのは実薬ですか、それともよく効くプラセボですか


 「プラセボ効果」というと,プラセボを薬と信じ込むことによって得られる効果などを指す。実地臨床や臨床試験において,プラセボが投与されたかどうかは患者本人に知らされないのが一般的だ。米ハーバード医科大学のTed J. Kaptchuk氏らは,過敏性腸症候群IBS)患者を対象に患者本人がプラセボを飲むとあらかじめ知っていた場合,無治療の患者と比べ治療効果があるのかについてオープンラベルのランダム化比較試験(RCT)を実施,その結果をPLoS ONE 12月22日オンライン版に報告した。それによると,プラセボ群の患者で無治療群に比べ,IBS各種スコアの有意な改善が見られたという。
オリジナル論文→Placebos without Deception: A Randomized Controlled Trial in Irritable Bowel Syndrome. Kaptchuk TJ, et al. PLoS ONE. December 2010. 5(12): e15591.
これはまた、つっこみたくなる記事ですね。過敏性腸症候群IBS)の人に「これはプラセボで砂糖みたいに薬効はゼロですが、精神身体的に作用してIBSに効くことが判明してます」とパッケージに書いて渡し3週間服用してもらったそうです。その結果、無治療の人たちと比べて、プラセボを飲んだ人たちのほうが症状が改善された、という論文です。
そりゃ、なんの治療も受けてないよりかは、プラセボでも「これは効くんです」と書いてある方がありがたみがあると思います。しかしながら、本来の薬の臨床検査では、有効な治療薬がある病気の場合は、倫理的な観点からプラセボを使うのは難しいです。この研究、これからどうやって発展していくんでしょうか?