朝日新聞、考えを変えるか?


 「医療報道を考える臨床医の会」の小松恒彦氏(帝京大学ちば総合医療センター教授)らは,1月28日,昨年(2010年)10月の朝日新聞がんワクチン報道(関連記事一覧)に抗議する5万5,773人の署名を持って朝日新聞社を訪れ,記事の訂正・謝罪,ガバナンス体制の再構築を求める要望書「朝日新聞社に適切な医療報道を求めます」を提出した。同氏は,その後厚生労働省で行った記者会見で「まさかこんなに署名が集まるとは思わなかった」と正直な感想を語った。また,同社の反応は当初「署名は受け取るが,何かの対応をするものではない」というものだったが,会見当日「何も対応しないとは言っていない」という訂正の連絡が入ったことなども明かした。
昨年秋に、朝日新聞が東大医科研が関連している抗がん剤治験に対する偏った報道を行いました。それに対し、名指しで非難された同研究所の中村教授は朝日新聞社を相手に訴訟を起こし、がん関連学会やがん患者団体などは相次いで声明文を出しました。それでも朝日新聞側は「記事の証拠はある」と強気の態度を示してきましたが、6万人弱の署名を受け取っては方向転換を余儀なくされたようです。
医療ミス・事故と適切な医療範囲における有害事象を切り分けるのは難しいですが、だからこそマスコミは慎重な報道姿勢を保ってほしいものです。特に抗がん剤は、元々の性質が「患者の身体を含めてガン細胞を攻撃する」薬剤なのですから。