なんという正論


 日本相撲協会は5月8日からの夏場所を力士の「技量審査場所」として東京・両国国技館で開催し、一般に無料公開することを決めた。「技量審査」とはいえ、取組そのものや土俵入り、弓取り式などは通常の本場所と変わらず、勝敗記録も公式なものとして扱うという。では何が違うのか。実に分かりにくい。

 無料公開は「金もうけの興行」と受け取られることを避けたいという協会の思惑があったのだろう。幕内と十両で15人も力士が減り、しかも八百長疑惑がさらに拡大した場合の対処を懸念する声が影響したようだ。だが、「無料開放」はかえって多くの混乱の元にならないか。

 本当に相撲を見たいというファンに見てもらう。そのためには格安であっても席の料金に差をつけ、有料でチケットを販売したほうが無用な混乱を避けることができる。

 「金もうけ」の批判を避ける手立てはいくらでもある。一番有効なのは収益を全額、東日本大震災の被災者への義援金に回すことだ。国技館内外での募金は、それはそれで行えばいい。本場所同様の場所を開催する意義はより強まるだろう。

 被災地のお年寄りや子供たちにこそ無料で大相撲を楽しんでもらいたい。部屋ごと、あるいは関取や親方ごとに地域を割り振り、被災者を国技館に招き、大相撲観戦で元気を取り戻してもらうことも考えられていい。知恵を絞ればいくらでもアイデアは出てくるはずだ。

5月場所の変わりに、「技量審査場所」を無料開放するのは、面白い案だとは思いました。しかし実際のところ、タダだと無用な混乱を呼び寄せるだけだと危惧します。ダフ屋が整理券を転売とか、相撲に不慣れな方が砂かむり席に陣取って飲食+声援を送っちゃうとか。1人1,000円でもいいから入場料を徴収して、全額を義援金に回した方が良さそうです。
あと相撲案内所(お茶屋)が常連客の席確保に対する配慮を要請したのも、理解できます。相撲協会に莫大なお金を落として「維持員席」をキープしてるのに、その自分の席を見ず知らずの人に座られるのは、いい気分しないでしょう。マナー違反な相撲初心者よりも、相撲を理解し愛するファンにこそ、砂かむり席はふさわしい。