科学の罪は重い


 昨年3月の東日本大震災東京電力福島第一原子力発電所事故への政府の対応について、60ページ近くにわたり問題点を洗い出すなど、反省を前面に出した内容となった。

 白書では、「震災が科学技術政策に投げかけた課題は深く、重い」と総括。〈1〉災害リスクの評価が不十分〈2〉研究開発の成果を生かせなかった〈3〉専門家の知見が適切に提供されなかった――といった三つの課題が、大震災や原発事故で顕在化したと指摘している。

震災対応、そしてその後の原発事故対応でも、科学専門家の知識は活かせなかったと思います。個人的には〈3〉が心残りですね。一般の人は「絶対に大丈夫なの?」というのを知りたがってたけど、科学に「絶対」はないし、責任がある科学者ほど断定は避ける習慣があります。「ないことを証明も断言もできない」のに、聞き手は安全だという言質が欲しい…科学者の限界とともに、科学コミュニケーションの限界を痛感しました。