自殺大国≠ひどい国

Why are the happiest places also suicide hotspots?
オリジナル論文→Dark contrasts: The paradox of high rates of suicide in happy places. Dalya MC, Oswaldb AJ, Wilsona D, and Wuc S. Journal of Economic Behavior & Organization2011:80(3), 435–442.
幸福度の高い国では、自殺率も高いという矛盾に関する論文です。欧米の国と、アメリカ50州の幸福度と自殺発生率を調査しています。たとえばアメリカで幸福度が1番高い州・ユタは、自殺率が全米第9位であり、幸福度第2位のハワイ州は自殺率が5位です。対して、幸福度45位のニューヨーク州は自殺率は全米最低になってます。この結果に関し、著者は「幸福度と自殺率は周囲との相対評価の結果なので、不幸な状況にある人の周囲に幸せな人が多くいたら、より苦痛に感じるであろう」と考察しています。
財政破たんしたギリシャで自殺者が増加しているとニュースを見て、「週1件だけかよ。年間3万人の自殺者が出てる日本は、ギリシャの何倍も悲惨だ」という議論は、必ずしも成立しないわけですね。幸せな人が多い環境の方が、自殺者が多いのですから。