村上さん、領土問題について語る


 この二十年ばかりの、東アジア地域における最も喜ばしい達成のひとつは、そこに固有の「文化圏」が形成されてきたことだ。(中略)
このような好ましい状況を出現させるために、長い歳月にわたり多くの人々が心血を注いできた。僕も一人の当事者として、微力ではあるがそれなりに努力を続けてきたし、このような安定した交流が持続すれば、我々と東アジア近隣諸国との間に存在するいくつかの懸案も、時間はかかるかもしれないが、徐々に解決に向かって行くに違いないと期待を抱いていた。文化の交換は「我々はたとえ話す言葉が違っても、基本的には感情や感動を共有しあえる人間同士なのだ」という認識をもたらすことをひとつの重要な目的にしている。それはいわば、国境を越えて魂が行き来する道筋なのだ。
村上さんは今までエルサレム文学賞受賞スピーチでイスラエルのガザ攻撃を「卵と壁」に例えたりバルセロナ東日本大震災と原発事故に対してスピーチしてきました。どちらも、事件が起きてから数ヶ月経過してから、あらかじめ予定されていた受賞スピーチで言及するスタンスをとってきました。
今回の領土問題は違います。事件発生から2週間くらいで、自ら寄稿という形をとられた。それだけ深刻な問題と捉えてるのかもしれません。これで、来週から発表されるノーベル文学賞を受賞したら、今回の寄稿は世界的に注目されるでしょう。願わくば、今回の領土問題の解決のきっかけの1つになりますように。
【追記】
少しずつ、安酒の酔いは覚めつつあるようです。とりあえずホッとしました。やれやれ。
http://www.asahi.com/culture/update/0928/TKY201209280002.html