B型肝炎にかかっても道はある(かも)


 B型肝炎ウイルス(HBV)の複製を長期にわたって抑制し続けた場合,慢性HBV感染が原因で進行した肝線維化の重症度は低下するのだろうか。肝線維化や肝硬変は不可逆性なのか,それとも条件次第では可逆性の病変なのか。仏Beaujon病院肝臓学部門のPatrick Marcellin氏らは,慢性HBV感染者に抗ウイルス薬テノホビル(日本ではHIV-1感染症の適応で承認)を長期投与した場合,肝線維症と肝硬変の組織所見にどのような影響が及ぶかを検討。「HBVの複製を阻止し続けることにより,HBV慢性感染者の肝線維化病変を可逆的に後戻りさせることが可能なようだ」とLancet 2012年12月10日オンライン版で報告した。
オリジナル論文→Regression of cirrhosis during treatment with tenofovir disoproxil fumarate for chronic hepatitis B: a 5-year open-label follow-up study. Marcellin P, et al. Lancet. 2012 Dec 7. pii: S0140-6736(12)61425-1.
B型肝炎ウィルスに一度感染すると、一般的には治ることはなく、肝硬変や肝臓がんを引き起こす可能性があると言われてます。しかしこの研究によると、承認済みの抗ウィルス剤を5年間飲み続けた患者のうち、87%が組織初見で病状改善したそうです。51%が肝線維症がマシになり、薬を飲み始めた時点で肝硬変を患っていた患者の74%は肝硬変が治るという信じられない結果が出ています。「肝硬変は非可逆的」という医学的常識が塗り替わるかもしれません。これはすごい。