人を説得するということ

そういえば以前、ニセ科学動画が話題になった菊池誠氏の講義を受けたんですが、そこでニセ科学を信じている人をどうやって説得するかってお話をされていたんですね。そういう人たちを説得する場合、論理的に逃げ道を塞ぐように攻めて行くってやり方ではダメだって仰ってました。「これは間違ってる、これも間違っている、だから水からの伝言なんか嘘なんだよ信じるなよ」って説得しても無駄だそうです。大槻教授みたいに頑固に否定するようなやり方じゃダメだって。自分の人格を否定されるように感じてしまい、ものすごい拒否されて逆切れされるんだそうです。そうならないためにも、科学の不完全さを認めるとか、相手の個人的体験を否定しないとか配慮すべきというお話でした。

ちょうど今ごろ菊池先生の公開講演会の真っ最中ですが、諸事情により行けなかった自分は指くわえながらレポ待ちです。
それはさておき、何かを信じてる人を説得するに理詰めじゃなく「相手に逃げ道を残す」ようにしなきゃダメというお話。まぁこれはひきこもりや非コミュを叩くだけじゃいかんぜよってコンテキストで出てきた例え話なのですが、社内調整や大きなサークルの根回しをしたことある人なら実感を持って知ってることだと思います。力任せの折伏では、相手を根っこから動かすことはできない。
類似の話*1として思い出したのは「医学コミュニケーション」を研究している人の発表でした。世の中には、糖尿病で甘いものを控えなきゃいけないのにケーキを食べ続ける人や、服薬を続けないと病状が悪化するのに薬を飲まない人、または眠れないほどの痛みを伴う虫歯があるのに歯科医院に来ない人がいます。医療者側としては、こういう人たちをどうにかして治療したい。でも正論を突きつけたら益々厭われて話を聞いてくれなくなる。そこで発表者は、例に挙げた人たちを力ずくの正論じゃなく、カウンセリングに似た対話で治療に向かわせられないかという取組を紹介していました。重要なのは、相手の話を否定せず同調しクネクネすることらしい*2

*1:ここで「類似の話」としたのはコミュニケーションの取り方であって、ひきこもりや非コミュが病気の人たちと類似であるという意味では断じてありません

*2:具体的な話を書きすぎると正体がバレるので割愛