「アカデミアにおける書き方の政治」

数本の学術論文を抜き刷りで配り「アカデミアにおける書き方の政治」について話してくれた。例えば、ある大学の英文学教授の論文を取り上げて「"I believe"という主観的な表現を使えるのは、彼がこの分野で有名人だから。普通、学術論文ではこんな書き方はしない」。別の大学の若手研究者(まだ、テニュアはとっていない)の論文を紹介した時は「彼女はまだ有名じゃないから『自分が何者か』を示さないといけない。"as a teacher"と書いて自分が大学で教えていることを示したり、別のパラグラフでは"linguist"とか"as a scholar"と書いて研究者でもあるとアピールしている。駆け出しの学者はこうやって、研究分野のコミュニティーに入れてもらう努力をしないといけない」。

面白そうなセミナーだ。人文系は"I believe"や"as a teacher"といった書き方をするらしい。ちょっと新鮮。分野は違えども、アカデミアに入れてもらうにはそれなりの書き方をマスターしなくては。単語の選び方や過去の文献の引用方法など、いわゆる「お作法」を踏襲することを軽んじちゃいけない。