タミフルの因果関係は個別イベントではない

 全般的にみると、「リスクはむしろ低くなる」という傾向だったことに、広田教授は「あくまで予備的な分析で、結論を出せる段階ではない。さらに検討しないといけない」と説明している。(中略)
 薬害タミフル脳症被害者の会代表で、05年2月、中学2年の長男がマンションから転落死した秦野竜子さん(47)は「厚労省は、因果関係の否定ありきで、都合の良いデータだけ取り上げている気がしてならない。子どもを亡くした私たちは、タミフル服用以外の原因を考えられない」と話した。

見事なほど両者の見方が断絶したコメント2つ。そりゃお子さんを亡くした遺族の方々にとっては、タミフルは命を奪った憎き犯人でしょう。しかし科学者や、政策決定者である役人は、個々のケースではなく全体のイベント数から因果関係を判定するのです。tak-shonaiさんですら「具体的な事象に対峙するにあたっては、すべてのトランザクションは個別であるとの認識」と書かれてます。つまり、個々人の経験ベースでは確率論は何の役にも立たないということですね。その辺の視点・立場の違いを、遺族に説いても馬耳東風か。