仕方ないよ、人間だもの

、実験は下記のような手順で行われています。
1. まず、実験前に被験者の唾液を採取する
2. 被験者を「数独を解いてもらう」と偽ってテスト用の部屋に連れていく。テスト用の部屋には「惹きつけ役」の女性、もしくは男性がいる
3. 「問題を間違えた」と試験者が部屋を出ていく。部屋には被験者と、あらかじめ学生の投票により「魅力度」が測定されている「惹きつけ役」が残される
4. 「惹きつけ役」は被験者と自然かつ親しく会話をする。もし被験者が話をしなければ、沈黙でもOK
5. 5分後、試験者が部屋に戻り、正しい数独を被験者に渡して解いてもらう。このとき、試験者と「惹きつけ役」は部屋を出ていく
6. 15分後、試験者は解いてもらった数独を回収し、2回目の唾液採取を行う。実験前の唾液とともに唾液内のテストステロンの量を調べ、比較する。
この働きは、男性が「パートナー」を見つけるための本能的な働きと思われるそうで、男性が女性の前で無意識的に自分を「大きく」見せるのもこの働きが原因だと思われるそうです。

オリジナル論文→ The presence of a woman increases testosterone in aggressive dominant men. van der Meij et al. Hormones and Behavior Available online 11 July 2008.
いつものことながら、日本語の記事からオリジナル論文にたどり着くのは一苦労です。しかしながら今回は原著に目を通してよかった。今回の研究の前提過程として「challenge hypothesis (Wingfield et al., 1990)」という仮説があるそうです。一雄一雌の鳥での話ですが、オス鳥は生殖に関係する行動でテスタスタロンレベル(T)が上がり、反対に子育てなどの行動でTが下がるとか。
今回のvan der Meij et alの研究はこれを人間にも適用してみようという研究結果です。初対面の女性と5分間の会話をするだけで被験者(♂)のTは上がるが、特に上昇が激しいのは

  1. よりアグレッシブな性格
  2. 1ヶ月以上パートナーがいない、もしくは性交のない

これらの条件に当てはまる場合。なるほど非モテが女を前にして舞い上がっちゃうのは、ホルモンレベルの反応なわけだ。「女にがっつくな」ってのは無理な話だな。こりゃ仕方ない。
あと個人的に面白いなぁと思ったのは、初対面の女性に逢ったとき限定のホルモン反応が起こるってことです。2回目以降の女性には起こらない反応って、身体・行動学的にどういう変化をもたらすんだろう?