住化がアフリカで蚊帳を売る

防虫剤のスローリリースができるオリセットネットは、洗濯しながら5年間の使用に耐えるとあって、マラリア対策向けに需要が一気に拡大。2004年には、米タイム誌の「世界で一番クールな技術」にも選ばれた。現地企業と合弁企業で進出しているタンザニアでの生産量は、年間1000万張りに達している。

 住友化学では、蚊帳事業はもっぱら「社会貢献が目的」(米倉弘昌社長)と考えている。だが、主な購入先となっている国際機関からは、適正な利益は確保するよう要請されている。というのも、事業継続ができなければ、蚊帳の供給も止まってしまうからだ。

 そのため、住友化学では「いったん上がった利益は学校建設などの形で、再度地域に還元することにしている」(米倉社長)という。

 じつは蚊帳事業から生まれる社会貢献は、それだけではない。

アフリカは現金収入がある職が極めて限られた地域だが、住友化学タンザニアの工場では、「直接雇用だけで3200人、運送や補修など周辺ビジネスも考えれば3〜4倍の雇用を生み出している」(米倉社長)という。

これはWin-Winの関係ですね。住友化学は蚊帳を売った利益を学校などで還元しつつ地元でビジネスチャンスを広げる。地元の人はマラリアの媒介である蚊を追いやる蚊帳を使えるし、学校なども増えるし、工場や運送などの仕事につけるかもしれない。確かにこれは「世界で一番クール」だ。