日本の「和魂」と人つきあい

マーケットの馬車馬: 和魂と洋才と温泉のガイジン
マーケットの馬車馬: 和魂と洋才と医療の崩壊(上)
マーケットの馬車馬: 和魂と洋才と医療の崩壊(下)
日本社会は「性善説的気質」ではなく、「互いの力を必要としているもの同士の間で、裏切りを処罰する仕組みが組み込まれており、それが裏切りを防いでいる」とする論旨は非常にガッテンしやすいです。
「和魂と洋才と温泉のガイジン」では、たった一人の部外者の為に台無しになるものの代表として温泉と銭湯があげられてます。不文律の多い場所では、たった一人の余所者(協力関係の外側の人)が温泉を台無しにすることもある、だからこそ信じられないようなガイジン差別が起こり得る、と。
「和魂と洋才と医療の崩壊」では、裏切り者処罰システムが最近の日本で機能しなくなった例として救急車の利用と産科があげられています。救急車を無分別に利用しても、その利用状況は救急センターで留まりコミュニティで共有されないので、評判メカニズムが働かない。産科医療は、「恐らく銭湯や救急医療以上に、評判メカニズムは機能しない」、なぜなら現代の日本でお産は一期一会で、一度お世話になった先生に再度お世話になることは余りないから、だそうです。だから産科で「評判メカニズムに支えられた性善説的な行動を患者に期待すること自体が間違っている」と太字で書かれるとガッテンせざるを得ません。
日本人のモラルが崩壊している、という嘆きを耳にする機会は多いですが、マーケットの馬車馬さんのように共同体と評判メカニズムという分りやすいキーワードで書いてる文章は読んだことがなかったので非常に新鮮です。要するに「旅の恥はかきすて」が日本の日常に広まりつつある、ということでしょうか。