Google創設者が自分のSNPに着目している

インターネット検索最大手グーグルの共同創業者サーゲイ・ブリン氏(35)が18日に始めたブログで、神経難病であるパーキンソン病を発症する確率が高い遺伝子変異を持っていることを告白した。
 ブログによると、ブリン氏の母がパーキンソン病を発症、ブリン氏も検査を受け、母と同じ遺伝子変異を持つことがわかった。現在、ブリン氏は発症していないが、今後、発症する確率が20〜80%あるという。

DNA test shows Google's Brin has Parkinson's gene: Scientific American Blog
Googleがゲノム情報を扱う会社23andMeを設立したのを最近目にしていたのですが、まさかGoogle創始者のBrinさんがハイリスクSNPがあると自分のブログに書いていたとは・・・色んな意味で驚きです。
SNPと病気の関連性が非遺伝学関係の人にもすんなり信用されていること。医学関係や疫学関係の人と話すと「SNP?何か色々やってるけど怪しいんじゃないの。具体例も聞かないしさー」と、己の不勉強を棚に上げて先入観バリバリの反応を示される場合も多いのに、Brinさんとその奥さんは「パーキンソン病高発症リスクSNPが自分のゲノムに見つかった」という事実を(ブログには出してないだけかもしれませんが)比較的すんなり受け入れているように見受けました。
今回Brinさんが高発症リスクSNPの保持者であることが判明したことにより、これから「高発症リスクSNPが見つかったらどうするのか」という議論・対策が進む可能性が大きくなったと思います。研究発表会で原因遺伝子・関連SNP探索をしている人がいると、時々「で、それ見つかってどうするんですか?」という質問をしたくなるときがあります。それは治療法や対策が皆無な病気における関連SNPが見つかった場合、患者さんにとっては「あなた将来病気になりますが治療法はありません」という残酷な宣告になりかねないからです。このようなケースはどうすべきなのか、という医療倫理的側面は置いておいて、SNP情報を開示する側・医療側はどうすべきなのか、GWAS時代を迎えた今こそ考えるべきだと思います。不幸中の幸いというべきか、Brinさんは若くパーキンソン病は未発症ですから、ご自分のジレンマを23andMeの運営に良い形に生かしてくれることを期待します。