拾う神がいても手が届いてないのでは

 全国の製造業で相次ぐ非正規社員の「派遣切り」。雇用対策として、さいたま市が発表した臨時職員100人の採用計画の応募が8人にとどまったことが明らかになったが、新規雇用を打ち出したほかの企業や自治体でも元派遣社員の応募が少数にすぎない実態が分かってきた。「派遣切り救済」と「人手不足解消」の一石二鳥を狙った企業や自治体は肩すかしを食った格好となっている。
高齢者介護施設を全国で展開するさいたま市の介護会社「メデカジャパン」。日産や日本IBMなど派遣社員削減を発表した30社に人員募集の文書を送ったが、「応募は1件しかありません」(担当者)(中略)
 こうした原因は、元派遣社員が希望する職場と、人手が足りず求人している職場があわない「ミスマッチ」によるもの。厚労省職業安定局は「どうやってこうした問題を解消するかは検討していきたい」としている。

派遣切りなど雇用情勢が悪化している中で対策として求人を出している企業や団体もチラホラあるようですが、応募数が少なく肩透かしを食らっているようです。引用記事の最後で「ミスマッチによるもの」とありますが本当にそうなんでしょうか。パッと思いつくだけでも

  1. 派遣切りで住むところを失った人たちに、求人情報が行き届いていない
  2. 雇用が悪化しているのに便乗して、嬉々として人員補充しようとするブラック企業もある
  3. 派遣切りやリストラをされた人たちはショック状態で、突然異種業種からオファーを受けても「やっぱり今までと同じようなところを先に探して」と二の足を踏んでいる
  4. 本当のミスマッチ。元IBM社員に介護会社がオファーを出しても、首都圏には人手不足のIT企業が多数ある

これだけの理由があります。元派遣社員向けでも就農の個別相談には長い列ができたそうじゃないですか。人に接する仕事は向いていない人種が介護職についたって、働く人にもお年寄りにとっても不幸なことで、結局のところ長続きしないのは目に見えてます。せっかく見つけた職を失うショックの大きさは、派遣切りされた失業者が一番知ってるはず。「何が何でも働かなくては」という焦燥感と「合わない仕事をしてまた失業したら・・・」という恐れの両方を抱いているんだと思います。