DNAカット&ペーストに光あれ

遺伝情報の本体であるDNAは、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)の4種類の塩基が二重らせん構造の中で対を作って連なっている。藤本さんらはまず、Tと置き換えが可能で光に反応する人工塩基を合成した。
この人工塩基をDNAに組み込むと、波長が312ナノメートル(1ナノメートルは100万分の1ミリ)の光を当てたときにその位置で切断され、波長366ナノメートルの光を当てると連結した。研究チームはA、C、Gに対応する同様の人工塩基も作成。酵素を使わずに光を照射するだけで、思い通りにDNAを切り張りできる道具がそろった。(中略)

 「酵素を使った従来のDNA診断では結果が出るまでに24時間かかったが、光ライゲーションなら約1時間で完了する。2?3年で実用化し、将来的には10分程度でできるようになるだろう」という。

 光ライゲーション法には、DNA操作の応用範囲を生命科学の枠外まで広げる可能性もある。
 その一例が、DNAコンピューターへの応用だ。藤本さんらは昨年、光ライゲーションを使って、DNAに二進数の論理演算を行わせることに成功した。

これは、すごい。どんぐらいすごいかというと、ガラス平板を用いたシークエンサーでチマチマ配列決定していた時代にキャピラリーシークエンサーで全自動化するよりすごいぞ*1。DNAの切り貼りは、現在は制限酵素を用いて「加熱→冷却→加熱」という時間のかかるサイクルでやっていたけれど、この光ライゲーション方なら光の波長を変えるだけで狙った場所をカット&ペーストできるそうです。あぁ聞いてるだけで興奮でゾクゾクしてくる。どうか藤本先生が、第二の和田昭允先生になりませんように。

*1:現行の次世代シークエンサーは早晩すべて買い替えになるだろうなぁ・・・