ポスドクや 兵どもが 夢の跡

博士号取得後に任期付き研究員(ポスドク)として大学や公的研究機関で働く人たちの民間企業への就職を増やそうと、文部科学省が、ポスドクを採用した企業へ1人につき500万円を支給する。(中略)
博士の受け皿となるポスドクは1万6000人を超えたが、企業への就職は進んでいない。日本経済団体連合会の06年調査で、技術系新卒採用者のうち博士は3%だ。(中略)
文科省の新施策では、まず企業からポスドクの活用方針や業務内容、支援策などの採用計画を募集。科学技術振興機構で審査した上で、採択された企業に対してポスドク1人につき500万円の雇用経費を支払う。支援期間は1年間だが、「使い捨て」にならないよう、終了後のキャリア構想も審査するという。文科省は「実際に採用した企業からのポスドクの評価は高い。何とかよい出会いを増やしたい」と話している。

涙なしには読めないニュース。行き場のないポスドクを企業に引き取ってもらうべく、文科省が1人につき500万円の「持参金」を支給するそうな。逆説的にいえば500万円の熨斗をつけないと採用をためらうほど、企業にとってポスドクはお荷物ってわけです。
ポスドクは、受験戦争を勝ち抜いて大学に入り、さらに大学院で研究して博士号を貰えるぐらいは優秀なはずです。それが、どこをどう間違ったか、国が500万円をオマケにつけないと就職すらできないようになっちゃったんですから、これは国策「博士一万人計画」が間違っていたとしか思えません。優秀な若者が1万6000人も期限付きポジションに甘んじ次の就職先を切実に求めてるのに、文科省はまだ「実際に採用した企業からのポスドクの評価は高い」とか寝言を抜かしてますが、企業のほうはそんな余裕はないでしょう。Chikirinさんは「おそらく32歳くらいから35歳くらいまでの3年間で『キャリア後半戦』のための準備を整える必要がある」とお書きになっていますが、それでも能力が同じぐらいなら若い方が将来的なポテンシャルが高いわけですから、ポスドクを雇うぐらいだったら5歳以上若い修士卒を新卒でとりますよ。ごく一部の勝ち組を除いて年収100万円台の非常勤講師や塾講師で食いつないでいければラッキーなほうで、単純労働のフリーターで一生を終えるポスドクも一定数いるんでしょう。どうするんだろうね、本当に。