村上さんのインタビュー@yomiuri online

【『1Q84』への30年】村上春樹氏インタビュー(上) (中) (下)
昨日の続き。やった、これで図書館に行かなくてすむゼ!ローカル保存して宝にする。
確かUCバークレーでの講演だったかで「新作のテーマは恐怖」と村上さんが話していたのを読んで、それから1Q84を読了したんで「はて、これのテーマが恐怖なんだろうか?」と考えてました。しかし村上さんが考えていたのは少し違った次元の恐怖だったようで。青豆が最初の地点に戻って探してたものが見つからなかったのは恐怖に近いのかな。

事件への憤りは消えないが、地下鉄サリン事件で一番多い8人を殺し逃亡した、林泰男死刑囚のことをもっと多く知りたいと思った。彼はふとした成り行きでオウムに入って、洗脳を受け殺人を犯した。日本の量刑、遺族の怒りや悲しみを考えれば死刑は妥当なのだろうと思うが、基本的に僕は死刑制度に反対だし、判決が出た時は重苦しい気持ちだった。ごく普通の、犯罪者性人格でもない人間がいろんな流れのままに重い罪を犯し、気がついたときにはいつ命が奪われるかわからない死刑囚になっていた――そんな月の裏側に一人残されていたような恐怖を自分のことのように想像しながら、その状況の意味を何年も考え続けた。それがこの物語の出発点になった。