「ごねない損」

『のはなしに』(伊集院光著・宝島社)より。

(伊集院さん愛用のノートパソコンが故障してしまったときの話です)

【すぐに購入した家電量販店にパソコンを持っていくと快く「すぐにメーカーに頼んで無料修理をいたしますので、3週間お預かりいたします」という。3週間は少々痛いが、無料で直るのならいたしかたがない。と、パソコンを預けて帰宅。ここまでは良かったのだが…。(中略)
 「三週間後に出来ます」っていって、三週間後に電話をかけたら「後三週間」ってどういうことだ? 修理作業20日目にして新たに3週間かかることが判明したってことか? そうじゃなければどこかで期日延長の連絡があってしかるべきじゃないのか?
 考えていると3分後「明日出来ます」ときてまたびっくり。先ほどの僕の声に多少不満のトーンはあったかもしれないが、誓って怒鳴ったり声を荒げたりしていない。いやいや、そんな問題じゃない。こんないいかげんな対応があるだろうか?
 僕が最初に「わかりました」といっていたら、どうなっていたんだ? 間違いなくまた3週間待たされたはずだ。これが「ごね得」というやつか? いや「ごね得」なんかじゃない「ごねない損」を回避しただけで、得なんてしちゃいない。不愉快な思いをした分まだ少しばかりの損だ。

勝手な想像なんですが、そのメーカーのマニュアルに「修理期間を聞かれたら、とりあえず3週間って言っとけ」って書いてあるんじゃ?
それはおいといて、なんか、ここ数年の日本ってこんな話が多くなったと思います。学校で英語の諺"The squeaking wheel gets the grease."を習ったときに「へぇさすがアメリカ、日本とは違うじゃん」と思ったのが懐かしい。しかし「ごねない損」とは言いえて妙です。さすが伊集院光