ツタンカーメンの呪いはDNA解析で解かれた

 エジプト考古最高評議会などは2007〜09年にツタンカーメンを含むミイラ11体を、エックス線撮影やデオキシリボ核酸(DNA)解析にかけて調査した。その結果、ツタンカーメンの左足甲の骨にマラリア感染の跡を確認したほか、足の骨の形に異常があり、つえなしで歩くのが困難だったことも判明したという。19歳で死亡したツタンカーメンについて、ハワス事務局長は、「若かったが、ひ弱な王だったとみられる」と述べた。

 調査では、これまではっきりしなかったツタンカーメンの父親は唯一神信仰を導入した王アクエンアテン(アメンホテプ4世)で、母親は同王の女きょうだいだったと結論づけられた。近親婚が多かった王族には、骨の先天的な発達不全が多発していた。

ツタンカーメンの呪いは大丈夫だったんでしょうか?恐らく最も有名なファラオ・ツタンカーメンと、彼の親族と思われるミイラが最新科学技術で解析されたそうです。日本のメディアはちゃんと原典も紹介してくださいね。
オリジナル論文→Ancestry and Pathology in King Tutankhamun's Family. Hawass Z. et al. JAMA. 2010;303(7):638-647.
ツタンカーメンの親族と思われる11体のミイラと、対照群として無関係と思われる5体のミイラのDNA解析を行ったそうです。マイクロサテライトとY染色体タンデムリピートを用いて、ツタンカーメン一家の5世代の家系図が紹介されてます。この中で明確に近親婚なのは、ツタンカーメンの両親であるアメンホテプ4世と女きょうだい*1だけです。さらに、若くして亡くなったツタンカーメンに、死産とはいえ2人の子どもがいたらしい。それ以外にも、新たになった家系図から、今まで正体不明だったミイラの身元が判明したケースもあったそうです。古代エジプト王家の謎が分子遺伝学でつきとめられて、その結果をJAMAオンラインで読めるとは、21世紀ってすごいなぁ。
【追記】
さすがはナショナルジオグラフィック、論文の要点もわかりやすく、プラスαの情報も書かれてます。
古代の世界 - ツタンカーメンの謎、DNA調査で解明(記事全文) - ナショナルジオグラフィック

*1:なんか変な日本語だな from 読売記事