日本人は真にユニークであった


 研究チームは、紅藻類を分解する酵素を海洋の微生物から発見。公開されている遺伝子のデータベースを調べたところ、この酵素の遺伝子を持つ陸上の微生物はいなかったが、日本人の腸内細菌から見つかった。

 日本人では13人中5人がこうした腸内細菌を持っていたが、北米の18人で持っている人はいなかった。日本人は古くからノリなどをよく食べており、腸内細菌は、ノリなどと一緒に口に入った微生物から紅藻類を分解する遺伝子を取り込んだらしい。

オリジナル論文→Transfer of carbohydrate-active enzymes from marine bacteria to Japanese gut microbiota. Hehemann JT et al. Nature 2010. 464:908-912.
この研究チーム、元は海草を分解する酵素を探索するために海草に付着しているバクテリア遺伝子を研究してたそうです。思わしい遺伝子を見つけて、その配列をGenBankにBlastかけてみたら、日本人の排泄物由来のバクテリアDNAにヒットしたっていうんですから驚いたでしょうねぇ。
元々、ヒトは食物繊維を消化できませんが、腸内細菌の手助けによって陸上野菜の食物繊維は分解・吸収できるそうです。対する海草類は、今までは体内分解されずに排出されると考えられてましたから、この研究結果は世紀の大発見と言えると思います。同バクテリアは日本人女性と彼女の離乳してない乳児からも検出されたということは、家族間伝播を示唆してます。問題はどうやって日本人の腸内に組み込まれたかは謎ですが・・・どうやら海苔が怪しいようです。海苔は8世紀ごろには朝廷記録に残されているほど古来より食用されてますし、非加熱のまま口にするからバクテリアを取り込む可能性が高いとか。日本人って、本当にユニークだったんだなぁ。