次々世代シークエンサー


 さて、変わり目といえば、DNAシーケンサーもいよいよ第三世代の実用化が迫ってまいりました。米Pacific Biotechnology社や米Applied Biosystems社、そして米Illumina社も、第三世代DNAシーケンサーを今年から来年にかけて発売する見込みです。

 ゲノム解析に大幅な時間短縮と価格崩壊を起こした、第二世代に比べて、第三世代は現状では必ずしもさらにスループットが増大するという訳ではありません。第三世代は1分子DNAシーケンスを可能としたことに意味があります。ゲノム解析の質的な革命が起ころうとしているのです。
(中略)

 ただし、第三世代が出たから第二世代は必要ないというのは全くの誤り。第二世代のスループットは捨てがたく、リシーケンスには不可欠です。また、転写解析やエピジェネティックスなど新しいアプリケーションも第二世代ではどんどん拡大しつつあります。

次世代シークエンサーが出てから数年で、更に次の世代のシークエンサーが発売されるそうです。この第三世代シークエンサーは1分子単位で配列を読め、PCRが不要という強烈なメリットがあるとか。そうなるとバイオの世界はガラッと変わるでしょうし、早晩に考古学や警察DNA判定も格段な飛躍を遂げることでしょう。しかし・・・読み込みエラーはどうやって判定するんだ?
このカラムの著者は第二世代と第三世代シークエンサーを「光学顕微鏡と電子顕微鏡」となぞらえてますが、効率的かつ正確な解析には両方が必要なんでしょう。それにはまず、これら新しい道具を購入し、しっかり使いこなせるようにならなくてはいけません。正直、それだけの財力と体力のある研究施設が国内にいくつあるのか心配です。理研事業仕分けで叩かれまくってますし、50億円をゲットした山中研くらいしか思いつきません。できることであれば、ラボごとにバラバラ購入するよりかは、Spring-8のような次世代シークエンサー施設を国内で1つ作って、研究者や警察捜査チームが自由に使えるようになれば一番なのですが・・・昨今の事業仕分けの流れから考えると難しそうです。嘆息。
参考記事1→Cheap third-generation sequencing : Article : Nature Methods
1年以上前の記事ですが、第三世代シークエンサーの仕組みがかかれてます。エクソヌクレアーゼで消化した単鎖DNAをナノ細孔に落とし込み、電流を通した際の抵抗でATGCとメチル化Cまで解読しようという仕組みらしいです。従来のシークエンサーだと、プライマ設計+PCR増幅で蛍光ラベル付与+解読の手間がかかってたので、二足飛びくらい手間が省けます。しかも各種の高価な試薬も不要。良いことづくめな好印象です。
参考記事1→Genomics firms turn to other markets : Nature News
こちらは2ヶ月くらい前の記事。第二世代シークエンサーのデータ無双に巻き込まれたくないラボ向けの新技術を紹介してます。安価版次世代シークエンサーや、長い配列を読み込めるシークエンサー、それに大規模シークエンスデータを解析するためのクラウドコンピュータなどです。どれも魅力的ですね。実現すれば、の話ですが。