バブル後15年で変わった「お金」

もはや自主マーチャンダイジング力なんてない−日経ビジネスオンライン
デパートの魅力がなくなったのは、バブル期にアパレルに注力しすぎたためだ*1、もっと多様な商品を扱う「百貨店」に回帰せよ、という連載。この中で総務省『家計調査統計』から作成された「消費支出に占める割合」という数字があったのが面白かったです。たまたま同じ日経ビジネスで、糸井重里氏がお金の使い方を考えにゃならんというコラムがありましたので、Excelでグラフを描いてざっと傾向を眺めました。
1990年〜2006年の消費支出において、下降%が大きい順に

衣類(-3.1%)>食料(-2.3%)>家具・用品(-0.7%)>教育(-0.4%)

逆に上昇している項目は

娯楽(+0.5%)<保健医療(+1.5%)<交通・通信(+3.3%)<住居・光熱(+3.4%)

この数字を見る限りは、新しい生活必須品である携帯電話料金(通信)を捻出するため、そしてジリジリと上がり続ける高齢者医療費を賄うために、衣類や食品の支出を抑え続けてる絵が浮かび上がってきます。支出%が上がっている項目はどれも物品じゃないんだから、小売業界が上向くのは至難の業じゃないか?消費トレンドはバブルと共に終わったんだということを裏付ける数字でした。
もう一つ気になるのは、上昇%が一番大きいのが「住居・光熱」であることです。土地の価格が高騰したバブル末期より3割も増えてます。これは、デフレ傾向の中でも住宅費だけは下がらないことの現れでしょうか。「家賃は手取りの3割に抑えろ」なんて目安から言うと13.7%でも安いほうだと思いますが、この数字は住宅ローンを払い終わった高齢者世帯も含めた統計値であることを考えると、いかに一般家計を住宅費が圧迫してるかがよく分かります。物品を売りたいんなら、持ち家幻想をブチ壊すのが始めの一歩かもしれません。
最後ですが、「娯楽」がこの15年間で減ってないことが不思議です。あれだけCDが売れないだの何だの騒いでるのに・・・消費者はCDを買う代わりに、一体どんな娯楽に移行したんでしょうか。ゲーム?けれども1990年だってゲームは流行ってましたし。謎だ。

*1:そもそも、元が呉服店だったデパートがアパレルに注力するのは当たり前の流れだと思う