遺伝子解析でルーツをたどるアメリカ人、家系図作りを禁止する韓国人

一方、日本では血液型を気にしたw
って冗談はさておき。


 米国人類遺伝学会が、2010年5月13日に遺伝子解析による家系検査の普及に警鐘をならしました。検査自体の意味は認めていますが、精度管理や解釈などに対してガイドラインを早急に作るべきだと声明しました。
http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?id=20071037

 日本では想像もできませんが、移民国家の米国ではベストセラー小説「ルーツ」のごとく、自分のアイデンティティを知る市場が存在しています。本当かどうか、確証を持てないのですが、米国人類遺伝学会の発表では、全世界に遺伝子解析による家系検査を40社以上が事業展開しており、50万人以上が家系分析を依頼している現実があるようです。

 問題は、家系検査の精度管理の方法が確立していないこと、またデータから家系を割り出す手法に関しても必ずしも確定していないことです。(中略)
 家系に強い関心を持つ韓国では、政府が家系遺伝子検査を禁止する法律まで成立させています。誰でも自分のルーツには関心があるのは当然でしょう。しかし、検査結果の精度が管理されていない状況で誤った結果が流布される可能性があること、加えて、ルーツ探しが社会的な無知によって差別に転化する可能性もあること、などを考えると、遺伝学的な解析による家系分析には一定のルール化と絶えざる正しい情報提供が不可欠であると、私も考えます。

アメリカ人と話すと「俺のルーツはハワイ人が半分とオランダ人とアイルランド人が1/4ずつだ」とかいうのが普通だったりします。現大統領だって白人とアフリカ系黒人の血を半分ずつ継いでますし。こういう文化だと、自分のルーツをパシッと知ってるのがカッコよかったりする風潮がある*1ぐらいです。先祖のルーツが自分のアイデンティティの一部であり、逆に知らない人たちはルーツを探したくなるのも納得です。この辺は、日本人にはピンときにくいと思います。ルーツったって両親の出身地で事足りるし、せいぜいが源氏平家の末裔云々の話で収まってますから。
オリジナル白書→Inferring Genetic Ancestry: Opportunities, Challenges, and Implications. Royal CD, et al. The American Journal of Human Genetics. 14 May 2010. 86(5):661-673.
こちらの文章、専門用語が少な目で読みやすくなってるので、英語が読める人には一読されることをお勧めします。本文のはじめの方に遺伝子解析による家系解析サービスを提供している会社の一覧(URLつき)があるのですが、deCODE系の23andMeも入ってました。アフリカ系の名前を冠した会社が複数あるのは、やはり彼らの先祖は強制的に新大陸に連行された身で、アフリカ大陸のどこから来たのかが不明な場合が多いからでしょう。彼らが「母国」を探したくなる気持ちは分かります。しかし、米国人類遺伝学会としては、有象無象の会社が訳分からん遺伝子解析を気軽に引き受ける事に警鐘を鳴らす必要性があったことも十分に分かります。解析方法も確立されてない、法律も整備されてない、何より「究極の個人情報」である遺伝情報が企業に渡り、整備状況すら不明なデータベースに蓄積されていって漏洩でもしたら・・・想像するだに恐ろしい。そういう観点では、早めに政府が禁止令を出した韓国は先見の明があると思います。日本は・・・まぁ近年中に検討委員会でも設立されるのが関の山だと思いますw
ところで白書の中に"admixture mapping"ってキーワードを発見。これ気になるので、しばらくモソモソ探ってみます。

*1:俺は100%日本人だぜ、というとCool!って返ってきたこともある