それ、仕切りやない


白鵬が守る自分のペース
 「時間がかかる!」あるいは、「時間をかける!」というと、もうひとつ思い出すことがある。こちらは「うなぎ」ではなく「相撲」だ。 夏場所で優勝を飾った横綱白鵬の土俵での所作。 好角家の方々には、すぐにご理解をいただけると思うが、横綱白鵬の仕切りは、とにかくゆったりと執り行われるのだ。(中略)
 私の見る限り、白鵬の動きがあまりにもゆったりしているので、相手力士がその間合いについていけなくて、両者の動きにギャップが生まれたり、対戦相手が横綱の登場に待たされることしばしばなのだ。(中略)
 それでも白鵬は自分のペースを崩すことなく、終始一貫ゆったりとした間合いで仕切るので、時には白鵬が仕切り線に手をついて相手をにらんでいるときに、対戦相手が立ち上がって横綱の前からいなくなっているときがあるのだ。
 それでも白鵬は、相手の残像をにらみつけるように自分の仕切りに没頭する。(中略)
 横綱白鵬は、鍛え上げられた肉体と抜群の相撲センスで相手を凌駕(りょうが)していることは言うまでもないが、その強さの背景には、戦いの時間を支配しているという要素を見逃すことはできないと思う。 どんなことでも、仕事とは、いつでもクォリティーと時間の兼ね合いの中にあるものだと思う。
あぁ、なるほど。このコラムを読んで、どうして白鵬を好きになれないのか理由の一つが分かりました。相撲における仕切りと立会いとは、仕切りを繰り返すうちに取組力士たちの息を合わせ、気合があったところが立会いとなるのが本来の相撲のはず*1。それが白鵬は、仕切りで相手力士に合わせるどころか、ゆったり自分のペースを守って「両者の動きにギャップが生まれる」ほどです。横綱といえば下位の挑戦を受けて立つ側なのに、相手に合わせさせ、時間いっぱいでも汗も拭かず、自分のペースで立ち会ったら即張り差しですよ。同じ事をドルジがやったら非難轟々でしょうに、横審や親方衆は白鵬を注意しないんでしょう。

*1:自分のペースの立会いといえば垣添だが、彼の場合は相手力士がまだ立ってるのにクラウチングスタートを切る