信じれば見破れる

BioToday - 他人を信頼している人ほど嘘つきを見分ける能力が高い
オリジナル論文→
Not Pollyannas: Higher Generalized Trust Predicts Lie Detection Ability. Carter NL and Weber JM. Social Psychological and Personality Science. July 2010;1(3):274-279
29人の被験者の一般的信頼(他者一般に対する信頼のこと)を調べ、数日後に8本の人事面接ビデオを見せ、(a)面接者は嘘をついてるか、(b)その判断の自信、(c)面接者は全般的に信頼できるか、(d)面接者は全般的に正直か、(e)この面接者を採用するか、の5点を評価した成績と一般信頼性との関連を調査した論文です。実は面接者の半分は面接が有利になるような嘘を3つ以上つくように指示されているのですが、他人を信頼している群は嘘を見破る割合が高く、嘘をつかない面接者を採用する割合も高かったそうです。逆に他人を信用してない群は、嘘をついた面接者を採用する割合が高かったとか。
一般的に「正直者≒バカ」というイメージがどこかにあるかと思うのですが、この研究では逆の結果が出ました。その潜在的な理由として、論文著者はDiscussionで山岸俊男先生の理論をひいています。曰く「他人を信頼している人たちは、騙されるリスクが高い分、信用できる人・できない人を見分ける社会的能力を身につけるのではないか。一方、他人を信頼しない人たちは、最初から疑ってかかるという効果的な予防策を講じているので、そのような能力は身につかない」。なるほど納得です。それよりイントロにある


Psychologists have long studied the ability to detect deception, with rather bleak conclusions: Human beings are surprisingly poor lie detectors. A recent meta-analysis concluded that "people achieve an average of 54% correct lie-truth judgments, correctly classifying 47% of lies as deceptive and 61% of truths as nondeceptive" (Bond & DePaulo, 2006).
こっちのほうが強烈に気になりました。人間が嘘・本当を見抜ける割合は54%、そのうち嘘を見抜けるのが47%で真実を信用するのが61%・・・ この数字は嘘を見抜く職業(精神科医、判事、警察官)でも大して変わらないそうです。半分しか嘘を見抜けないと思うか、半分も真実を信用できると思うか。どちらにせよ、あまり優秀な成績じゃありませんね。