教授、動く


 東京大医科学研究所が開発したがんペプチドワクチンの臨床研究で、医科研付属病院の患者が消化管出血を起こした情報を、ワクチン提供先の他病院には知らせていなかったと朝日新聞が報じた問題で、記事中でワクチンの開発者などとされた同研究所の中村祐輔教授の代理人を務める弁護士は、「重大な人権侵害であり抗議する」とする通知書を、朝日新聞社あてに送付した。中村教授が28日明らかにした。

 通知書によると、中村教授は問題とされたワクチンの開発者ではなく、記事は「基本的な医学的知識や表現の誤り、事実誤認が含まれている」などと指摘。「がん診療とがん研究の停滞、科学的実証のない治療法への誘導が懸念される」として、すみやかに事実関係や取材経緯について検証し、結果を明らかにするよう求めている。

朝日新聞抗がん剤治験報道について、名指しで取り上げられた中村教授が強い抗議行動をとってきました。学会・患者会などが抗議声明を発表しているのに対し、弁護士を通じての抗議文です。これを無視したり事実無根な主張を出し続けたら、名誉毀損で訴えられるかもしれません。
この件に関しては医療報道を考える臨床医の会という団体も署名活動を始めました。このような団体が、感情的な報道に先走り勝ちなマスコミのいさみ足をけん制できるようになるといいのですが。