田辺三菱は会社として舵取りできていない


発覚の経緯は、10年9月に子会社の業務監査や本社内の内部通報で、試験不実施の疑いが指摘され、社内調査を実施。10月に「試験は実施されていた」とのけ結論をまとめたが、12月に朝日新聞がこの問題について取材。それに押される形で、本社が社外弁護士による調査を依頼し、1月24日までにいくつかの試験が実施されておらず、他にも実施していない疑いがあることが判明した。

不実施の疑いがある試験は、医薬品を承認書に定められた重金属やヒ素などの不純物に混入を調べる純度試験と、製品に含まれる不溶性微粒子試験。社外調査チームは、計測データの記録が残らない試験というが、試験に必要な試薬や資材の購入実績と試験実績が符号しないことなどの傍証から不正を判断した。試験担当者は40代の男性一人で、02年10月〜10年8月まで担当、不正の動機については詳しくは詰め切れていないが、単純作業が多く、試験途中で機器の調子が悪くなったりした際に、再試験が面倒になって、試験を実施したことにしたといった理由などが考えられるという。

昨日の田辺三菱の品質試験未実施事件の続報です。試験担当の社員が1人ってのも、実施記録をチェックする体制がないというのも、計測データの記録が残らないというのも、とても信じがたいです。それって社員1人が「やりました」って言えばOKだったってこと?そりゃサボるわ。
さらに大問題なのが、内部告発を受けての社内調査で不正を見抜けなかったこと。試薬の購入実績と試験「実績」すら突き合せない調査って、何を調べたんでしょうか。新薬申請の治験データ差し替えを機に設置された社外調査委員会委員長の弁護士は「(見えてきたと思っていた)コンプライアンスの向上はいったい何だったのかという思い」とコメントしていますが、非実在コンプライアンスだったんでしょう。田辺三菱は合併を繰り返して誕生した企業なのを差し引いたとしても、医薬品を扱う会社として有るまじき実態です。