ようやく


 大相撲の八百長問題が連日ニュースを賑わせているが、騒動の発端となった携帯電話のメールを警察や文部科学省保有していることが違法である疑いが強いことが、ビデオニュース・ドットコムの取材で分かった。

 今回の八百長問題は、力士同士が勝ち負けについて金銭のやりとりを含めて事前に打ち合わせていたと思われるメールが、押収された携帯電話から復元されて発覚した。しかし、そもそもその携帯電話は、野球賭博の捜査で警視庁が押収したもので、八百長は捜査の対象になっていない。つまり、警察は別の事件の捜査で押収した証拠を、裁判所の令状がないまま、文科省やマスコミに提供していることになる。

 捜査情報を文部科学省に提供したことについて、警察庁は、行政機関が一体となって職務を遂行するよう定めた国家行政組織法2条を基に行ったと説明し、中野寛成国家公安委員長も10日の記者会見で、公益性を考えて法適用を行っているため、情報提供に問題はなかったとの認識を明らかにしている。

 しかし、行政訴訟に詳しい清水勉弁護士は、この説明では政府は自らの違法性を認めているに等しいと指摘する。なぜならば、国家行政組織法は行政機関の組織や割り振りを定めたものに過ぎず、具体的に何かを行う権限を与える「授権法」ではないことは、法律家なら誰でも知っているからだという。
 また、清水氏は、そもそも警察が情報を他者に提供する権限の有無以前の問題として、令状で認められた対象とは異なる八百長を示すメールデータを保有していること自体が、違法だと指摘する。家宅捜査による押収や差し押えは、裁判所から令状を得たうえで、罪名にかかわるものを特定して押収しなければならないと、刑事訴訟法に明記されている。たとえ他の犯罪の証拠となるものがあっても、令状がなければ差し押さえることはできないし、そもそも相撲における八百長は違法行為ではない。

 野球賭博という違法行為の捜査のために力士の携帯電話を押収することが認められたが、警察が入手できる情報はその中で野球賭博に関わる通話記録やメールのみに限られ、それ以外の情報は警察は入手することも、他者に提供することも一切できないのが刑事訴訟法の常識だと清水氏は言う。

八百長騒動から半月、ようやく警視庁の違法なリークを問題にする記事がポツポツ出てきてホッとしてます。それでもTVニュースでは「相撲協会の特別調査委員会で携帯メールと預金通帳の提出を義務づけて・・・」などと当たり前のように報道されててゾッとしてます。警察ですら捜査権があって、通信会社の協力があって、ようやく合法的にメールを読めるはずですよね。どうしてイチ公益法人相撲協会が、犯罪容疑のかかってない力士のメールを読めて当然だと思い込めるのでしょうか。民間人の魔女狩りって、いつの間に日本で合法化されたんです?自分が今の力士の立場になったら、と仮定したら事態の恐ろしさが少しは想像できると思うのですが、それすらできないのは実に恐ろしい。