地方巡業の思わぬ影響


 中止が決まった大相撲藤沢場所(会場・秋葉台文化体育館、主催・同実行委員会)。チケットの払い戻しなど直接的損害も避けられない見通しだが、周辺への予想外の影響も次第に明らかになってきた。会場で5年前から行われてきた献血キャンペーンも中止となり、県内の血液が一時的に不足気味になる恐れが出てきた。また、同場所は地域の障害者、高齢者の貴重な楽しみの場だっただけに、落胆の声も大きい。

 関係者が頭を抱えているのは、2006年から始まった「大相撲藤沢場所献血キャンペーン」。チケット販売の際に呼び掛けているもので、当初は145人(52リットル)だった採血者は次第に増え、昨年は力士らを含め312人(120リットル)にまでなった。この量は、全県での1日の献血量の半分に相当するという。

 県内の献血業務を一手に担う県赤十字血液センターによると、「県内に、これほど多くの血液を確実に安定的に採れるイベントはほかにない」という。

 血液の適正在庫は、3日分の需要量とされるが、毎年春先は企業献血が行われないことなどから、在庫が不足気味になる。「そこで、藤沢場所の献血は不足を挽回できる極めて重要な機会になっている」と同センターの渉外課長、湯川昇さんは明かす。天候に左右される街頭献血と異なり、藤沢場所は採血時間を事前に予約する仕組み。効率的で確実に大量の血液が確保できていたのだ。
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 「今年はないんだね」。昨年、招待券で藤沢場所を楽しんだ知的障害のある40代の男性は残念そうに肩を落としたという。

 高齢者福祉施設や障害者が通う就労支援事業所など向けに計600万円(約600人分)のチケットが寄付される予定も吹き飛んだ。

 就労支援事業所などを運営する社会福祉法人、光友会(藤沢市獺郷)の五十嵐紀子理事長は「春の恒例になりつつあった。残念としかいいようがない」と話す。県遊技場協同組合や神奈川福祉事業協会が数百万円規模で買い取り、周辺自治体に招待券として寄付、各自治体が高齢者福祉施設などへ配っていた。

大相撲の八百長問題で2011年の地方巡業は全て中止になりました。その思わぬ影響として、神奈川県では献血量の大幅減が懸念されています。観客と力士300人以上が確実に献血してくれるとなると、赤十字側も頭を抱えるでしょう。
あとは高齢者などの福祉施設への招待券発行も、招待される側は本当に残念でしょう。2月のNHK福祉大相撲もそうですが、収益は福祉事業へ寄付されることになっていたのですから、中止されたら当然困る人たちもいるわけで・・・ 「相撲なんてみないよ」とか「なくたって困らない」という人も多いでしょうが、現にこうして悪影響が出てきているのですから、適切な妥協点を見出して早めに事業再開してほしいです。
【追記】
福祉大相撲が中止になっても、「NHK厚生文化事業団」として予定通り寄付するとは・・・まぁ事前に手配しているから、無駄にするわけにはいきませんよね。
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