研究会に被災地支援の輪


 東北大学の研究者の方が撮影された研究室の写真をお見せいただいたのですが、高額な実験装置は転倒、破損し、床の上には器具などが散乱しているといった具合でした。倒壊の危険のある建物もあるそうで、施設などの調査を終え、研究室を復旧して研究を再開するまでには数カ月単位の時間がかかると思われます。

 こうした研究者の被災に対して、支援する動きが始まっています。自然科学研究機構基礎生物学研究所などでは、被災により研究を遂行できなくなった研究者らに対して、研究設備の提供を開始しています。基礎生物学研究所の広報室によると、まだ申請は東北大学の研究者から1件ということで、恐らく被災された方は、まず生活を立て直して、研究室の人的・物的被災状況を確認するといった段階かもしれません。しかし、今後、研究室の復旧作業を進める段階で、並行して研究者を派遣して研究を再開できれば、復興を少しでも早くできると思われます。

東日本大震災、研究者支援の動きも
http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?newsid=SPC2011032380303

 また、医薬基盤研究所では、被災した研究者から、細胞、ヒト由来DNA・血清、マウス凍結胚・精子の保護預かりを、2012年3月末まで無料で保護預かりしています。
公的研究機関だけでなく、民間企業も対象にしています。

医薬基盤研究所、細胞、ヒト由来DNA・血清、マウス凍結胚・精子の保護預かりを無料で実施
http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?newsid=SPC2011031780227

よい兆候のニュースを1つ。被災した研究者の支援が、業界内ではじまりつつあります。研究者という人側の支援と、研究設備・サンプルというハード側の支援の両方が必要ですが、上の記事にどちらも紹介されています。基礎生物研は愛知県岡崎市医薬基盤研究所大阪府茨木市ですから、余震や停電の影響はほぼゼロで、安心して研究資源を預けられるのではないでしょうか。素晴らしい。