ガラパゴス化を極めた日本の大学院

大学開国 第4部 沈む大学院
(1) 東大でも定員割れ 知の国際競争 脱落危機
(2)大学開国)学生縛る「研究室」 徒弟制度、視野広がらず
(3)プロ育成、期待外れ 実務と理論の融合遠く
(4)修士号 評価されず リーダー集まる場目指せ
日経新聞の、日本大学院に対する特集記事です。有料記事にも関わらず全部読んでしまった…あらすじをザッとまとめます。

  • (1):東大大学院の博士課程の生徒が集まらず6年連続の定員割れ。教授は「無から有を生み出す理学の意義が理解されれば入学者は増えるはず」と知恵を絞る。国内の大学院は「多彩な研究人材」が集まらず危機感を募らせている。アメリカの大学院は優秀な留学生の獲得に多大な努力を重ね、「多様で優秀な人材を集め、さらに優秀な人材が集まる好循環」が生まれている。
  • (2):アメリカの大学院では、様々な専攻の教員から指導を受ける「コースワーク」が定着。日本の大学院では、教授が他分野を学ぶ必要性を感じず、コースワークを受けようとする学生に「そんなところに行ったら、中途半端になるよ」と言葉をかける
  • (3):専門職大学院では、研究職教授と実務経験者の隔たりが大きい。在学生は「研究職の先生は自分の学説の講義ばかり。実務の授業も契約書作りの練習など内容の薄いものも多い」と言い、今秋に退学するという
  • (4):日本のトップに大学院出身者が少なく、海外のリーダーとやりとりをすると負い目を感じる。しかし従業員採用で院生の特別枠を設ける予定はない。若手社員を欧米の大学院に派遣し、世界各国の政府・産業界の幹部候補生とネットワークづくりを狙う。共通するのは、世界からトップクラスの学生を集められない日本の大学院へのあきらめ

これだけでお腹いっぱいですね。日本の大学院の中の人は、今まで通り研究にまい進して象牙の塔にこもっていればいいと考えている。他方、企業や学生は、多彩な人材が集まり、チャンスも広がる海外の大学院に目を向け、日本の大学院への期待は抱いていないようです。
日本の大学院に在籍した経験上、この特集の内容には賛成せざるを得ません。自分の教授も「小さい勉強会に出るくらいなら研究を進めろ。論文を書いて学会発表しろ」と言ってました。意図は「人件費無料のスタッフは使えるだけ使いたい」といったところでしょうか…研究室外のネットワークを作ろうとすることすら、お気に召さなかったようでしたから。古くからある師弟関係、といえば響きはいいですが、体のいい丁稚奉公です。こんなんじゃ、海外の「多様で優秀な人材」が集まるはずもなく、将来の幹部候補とのネットワーク作りも望めません。企業からしたら、日本の修士、博士号は「がまんしたで賞」でしかないわけです。日本の大学院、つんだな。
【追記】
思ったんだけど、日本の大学院は、日本製の電化製品と同じような末路をたどってるんじゃないだろうか。高品質、高付加価値なら間違いなく売れる、とロクにマーケティングもしないまま突っ走ったパナソニックやシャープみたいだ。