プラセボ効果も遺伝子の影響がある?

BBC News - Placebo effect may be 'down to genes
オリジナル論文→Catechol-O-Methyltransferase val158met Polymorphism Predicts Placebo Effect in Irritable Bowel Syndrome. Hall KT, et al. PloS one. 2012;7(10):e48135.
プラセボ効果が出やすい人は遺伝子に差があるかもしれない、という論文がBBCに紹介されてました。この研究では、過敏性腸症候群IBS*1の患者262人を(1)プラセボ針治療群、(2)支援的な施術者によるプラセボ針治療群、(3)治療待ち群 にわけました。週2回の"治療"を3週間続けた後に、IBSの症状の改善度を調べたそうです。その結果、前頭葉ドーパミン分泌量が多いCOMT遺伝子型を持っている患者が、(1)(2)群で病状が一番改善していることが判明しました。
病は気から、というくらいですから、プラセボの効き目が脳内物質の量に左右されるのも納得できます。しかし、ドーパミンの量だけが左右するかどうかはまだわかりません。先行研究ではセロトニン分泌量とプラセボの効果に相関がある、という論文もあるので、プラセボと遺伝子型の関連はまだ謎が多いです。
なにより一番大事なのは、どの遺伝子型の患者さんも(2)支援的施術者群で病状改善が一番大きかったことです。治療の内容も大事ですが、医療関係者と患者の信頼関係の方が大事だというのは、いいオチだと思います。

*1:安部元首相が患った激痛を伴う腸炎