超高額医療費時代へようこそ


 厚生労働省が9月に公表した10年度の国民医療費は37兆4200億円。概算医療費は国民医療費の98%程度にあたるので、11年度の国民医療費を推し量ると38兆5千億円になる。名目の国内総生産に占める割合は8.2%。経済の成長がはかばかしくないなかで、医療費は成長が著しい。

 この伸びを説明するときの決まり文句が高齢化だ。たしかに1人あたりでみると、70歳以上の人は年80万6千円と69歳以下の4.5倍の医療費を使っている。団塊世代のはしりが後期高齢者になる10年後に向け、医療費の膨張に拍車がかかるとみるのは無理もない。

■開発費かさむ

 だが厚労省の見解は少し異なる。人口構造の高齢化は避けられないが「これからは総人口の減少に勢いがつき、高齢者の実数は頭打ちになってゆくので、医療費を押し上げる主役ではなくなる」(保険局)とみる。事実、11年度の増加率への寄与度を主な要因別に分解すると(1)技術の高度化2.0ポイント(2)高齢化1.5ポイント弱(3)人口減マイナス0.2ポイント――と、イノベーションが高齢化を上回る。

 その象徴が医薬品のめざましい技術革新だ。たとえば世界の製薬会社が、がん細胞に特有の分子をねらい撃ちにする分子標的薬の開発にしのぎを削っている。副作用の危険を小さくする研究開発にも余念がない。おのずと開発費はかさむので、標的薬を使う患者には目を見はるほど高い治療費がかかることもある。
 

膨らみ続ける医療費の原因は、高齢化だけではなく医薬品の技術革新だ。と書かれてもピンときませんよね。しかし、同じ日経で1カ月の医療費1000万円以上、最多の179件 11年度、最高は1億円超という記事が1か月前に出ていました。この179件と、最高額の1億1550万円の医療費だけ、この180世帯の1ヶ月の合計医療費は20億円以上になる計算です。3割負担とはいえ自己負担できることにビックリする金額です。
これから更に医療が進歩すると、このような高額医療費の請求はどんどん増えることが確実です。日本は国民皆保険制度ですから、認可を受けた医療・医薬品代の7割は国庫から捻出していくのがルール…早晩、破たんするのは確実です。さて、国はこれからどうするんでしょうね?