XとYだけじゃない


 
 哺乳類の性別は「X」と「Y」という二つの性染色体の組み合わせによって決まるが、これら以外の染色体にも、性別の決定に欠かせない遺伝子があることを確認したと、京都大や理化学研究所などの研究チームが発表した。(中略)
 
 立花誠・京大准教授らは、発生過程のマウスの実験で、XでもYでもない第6染色体にある遺伝子「Jmjd1a」を働かないようにすると、Y染色体を持っていても約6割が雌になり、子どもも産むことを確認した。この遺伝子は人でもX、Y以外の第2染色体にある。
 
 性別を決める遺伝子としては、Y染色体にある「SRY」が知られており、雄の生殖器官を形成するよう指令を出す。
 
 今回の研究では、Jmjd1aが、SRYに活動を始めるように促すことも判明。Jmjd1aがうまく働かないと、SRYの指令が弱まり、Y染色体があっても雌になった。
 
 立花准教授は「人間でもY染色体を持つ女性が2万人に1人の割合で生まれている。その原因がこれで説明できるようになったのではないか」と話す。ただし、自分の性別に違和感を持つ「性同一性障害」とは無関係という。
オリジナル論文→Epigenetic Regulation of Mouse Sex Determination by the Histone Demethylase Jmjd1a. Kuroki S, et al. Science. 6 September 2013:Vol. 341 no. 6150 pp. 1106-1109.
性決定遺伝子として有名なSRYが、常染色体上の遺伝子からepigeneticな制御を受けているんですか。これはまた…面白いを通り越して、今までの運動競技における性別検査結果を揺さぶる研究結果ですね。だいたいY染色体をもつ女性が2万人に1人の割合で産まれてるということすら知りませんでした。彼女ら(彼ら?)は生殖性があるんでしょうか。世の中は不思議に満ちている。